今回は、この本のレビューをしていきます。
今は転職をするのは当たり前の時代、
むしろ1つの会社で働き続けるのはリスクと思われている時代です。
そんな転職がスタンダードな今、転職に失敗しないためには何が必要か?
そのヒントとなる考え方が詰まっているのが本書です。
タイトルの通り、
「このまま今の会社にいていいのか?」
と思っている方、また
「転職活動中だが、転職活動では何に気を付ければいいのか?」
「転職したいが怖くて1歩が踏み出せない」
という方まで、転職に悩んでいるどんな方にもヒントになる箇所を見つけられると思います。
個人的には、
「転職活動をしようと思ったときに、本書を先に読んでおくことで業界や企業選びにおける失敗を高い確率で減らせるのでは?」
と感じました。
それではレビューしていきます。
著者の伝えたいこと
まず、本書の作者、北野唯我さんの紹介をします。
北野さんは博報堂へ入社後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年にハイクラス層を対象にした人材ポータルサイトを運営するワンキャリアに参画、同サイトの編集長としてコラム執筆や対談企業現場の取材を行っている方です。
ご自身も転職経験者であり、キャリア形成を考える仕事をしている、
いわゆる転職やキャリア形成のプロの方です。
すべての人が「いつでも転職できる状態」を作りたい。
北野さんが一番伝えたいことは、
この本を通して、すべての人が「いつでも転職できる状態」を作りたい。
なぜならすべての働く人がいつでも転職できるだけの「市場価値」を持てれば、
生き方すらも変わる可能性があるから。
そのために必要なのはうわべの転職情報ではなく、
情報を見極める”思考の軸”である
ということです。
本書は、30歳会社員の主人公が、経営コンサルタントの黒岩に
「転職の思考法」を教えてもらうというストーリー形式となっています。
黒岩の言葉はそのまま北野さんの言葉と考えられるので、
北野さんがこの本を通して一番言いたいことが
「転職の思考法」を身に付け、みんなが転職というカードをもてるようになれば、
個人も、会社も、ひいては日本社会全体がよくなる
と本気で考えていらっしゃいます。
その熱い思いをストーリーとともに感じることができる内容となっています。
「転職の思考法」の内容
ここでは「転職の思考法」の中で、
自分が特に印象に残った部分に絞って紹介していきたいと思います。
全てをご紹介すると膨大な量になってしまうので、その辺の事情はご了承下さい。
1,上司を見るのではなく、マーケットを見る
キャリア形成に成功している人の違いは、
「上司を見て働く」か
「マーケットを見て働く」か
の違いです。
マーケット=転職市場であり、
自分のマーケットバリュー=市場価値です。
自分の給与が発生しているのは、会社から言われたことをやっているからではなく、
「自分」という商品を会社に売り、会社がそれを買うから発生しているという思考が大切で、
このように、マーケットバリューを理解するには、
まず自分を商品として考えることが重要とのことです。
自分のマーケットバリューの高め方
マーケットバリューの構成要素は、
1,技術資産
2,人的資産
3,市場の生産性
の3つがあります。
理想的なキャリアは、この中で少なくとも2つ以上が高いとのことです。
技術資産の構成要素は、
「専門性」と「経験」
です。
「専門性」とは”職種”に近く、例えば
マーケティングや営業、会計や税務、プログラミングやデザインなどです。
これはイメージしやすいと思います。
そして「経験」とは、”職種に紐づかない技術”で、例えば
プロジェクトマネージャーの経験や、事業部長の経験、リーダーの経験などです。
わかりやすくいうと、チームを率いた経験です。
そして、ここで大切なことは、
20代では専門性、
30代では経験、
40代では人脈を取れ!
ということです。
マーケットバリューの構成要素の3つ目の
「市場の生産性」とは、簡単にいうと、
その業界にいる人間が、
1人当たり平均どれくらいの価値を生み出しているか?の違いです。
一人当たりの粗利とも言います。
これが、業界によってかなりの差があり、最大で20倍近い差が出てくるとのことです。
それくらい業界によって1人当たりの粗利が違うため、
業界選び=場所選びを間違えればマーケットバリューは絶対に高くならない
と語っています。
この、どの市場を選ぶか?に対して、伸びているマーケットを選べという主張が
本書で強く言っている主張の一つでもあります。
具体的な伸びている市場の選び方は、本書を実際に読んでみて下さい!
2,「働きやすさ」と「成長の可能性」を見極める
本書のいい点は、マーケットの選び方のみならず、
転職活動者の目線になって、転職活動者が持つ不安に丁寧に回答していることです。
その一つが、「働きやすさ」と「成長の可能性」に言及している点です。
特に、現段階でマーケットバリューが低い人は、
「活躍の可能性」を見た方がいい
とのことです。
そこで私自身が参考になったのが、
活躍の可能性を見出すために聞く、面接官への質問例です。
1.どんな人物を求めていて、どんな活躍を期待しているのか?
2.今社内で1番活躍し、評価されている人はどんな人物か?
なぜ活躍しているのか?
3.自分と同じように中途で入った人物で、今活躍している人はどんな部署を経て、どんな業務を参考にしているか?
の3つです。
この3つを聞いたうえで、
自分が社内で活躍できるイメージを持てたら活躍できる可能性は高く、
反対に持てなければ転職後に苦しむ可能性が高くなるとのこと。
こういった視点は、本書を読まないと出てこない視点であり、
実際の面接の場では役立つと感じました。
3,いいエージェントの見極め方
本書では、
「エージェントの見極め方」
を伝えてあり、転職活動者において非常に参考になる点が多々あると思います。
いいエージェントの見極め方は、
- どこがよかったか?入社する上での懸念点はどこか?
を丁寧にフィードバックしてくれる。 - 案件ベースでのいい・悪いではなく、自分のキャリアにとってどういう価値があるかといった視点でアドバイスをくれる。
- 企業に、回答期限の延長や、年収の交渉をしてくれる。
- 「ほかにいい求人はないですか?」という質問に粘り強く付き合ってくれる。
- 社長や役員人事責任者などとの強いパイプがあり、彼らとの面接を自由にセットできる。
といった点です。非常に参考になる点がありますね。
個人的には特に2点目の、
「案件ベースのいい・悪いじゃなく、自分のキャリアにとってどんな価値があるか
の視点からアドバイスをくれる」
という点は、意識しておくべきだと感じました。
これら5点は、転職活動でエージェントとやり取りするときに
必ず振り返りたい点ですね。
転職チャネルの使い分け
本書でさらに参考になる点は、
「採用側の会社視点での転職チャネルの使い方」を説明し、
そのため転職活動者も様々な転職チャネルを使い分けるべき
と主張している点です。
転職チャネルには具体的に以下の通りです。
- ヘッドハンティングを受ける
- 転職エージェントに登録し紹介を受ける
- ダイレクトリクルーティング型のサービスを使う
- SNSなどマッチングサービスを使う
- 直接応募、または友人から紹介してもらう
これらは採用する側からすると全く違うのもになる。
一番は”コスト”の違いです。1からコストが高い順になっています。
会社側からすればコストが違うため当然チャネルを使い分けます
具体的な言及は避けますが、
つまり、筆者が言いたいことは
「転職エージェントで紹介される案件だけで転職を決めてはいけない。
なぜなら本当に魅力的な求人が乗ってこない可能性もあるから。
様々な手段で仕事を探し、SNSのサービスや直接応募など、
自分で求人を検索するという行為を忘れてはいけない。」
ということです。
エージェントに頼りっぱなしだと、本当に自分の目的にあった求人を
見落とす可能性があることも頭に入れておきたいですね!
まとめ
以上、いろいろ書いてきましたが、
本書にはここには書ききれないほど貴重で参考になる情報が溢れていました。
まさに「転職の思考法」と言える情報を得れるのではないでしょうか?
個人的には、今タイムリーに転職も考えている身もあってか、
どの箇所も参考になりました。
まとめますが、本書で筆者が一番伝えたいことは、
「転職の思考法」を理解し、「誰もがいつでも転職できる状態」を手にすることで、
個人も生き方も、会社も、ひいては日本の社会をも変えることができる
ということです。
その熱い思いを、本書を通して、仕事や転職に悩んでいる方に届けています。
気になった方はぜひ本書を手に取ってみて下さい!
それでは!
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